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9章【重い罰】
天気は晴れ、現在、シエルはエルヴィドと共にペリグレットの王宮の前に立っていた。
「シエル。本当に一人で大丈夫?」
「うん。ここまで連れてきてくれてありがとう、エル」
「ヴィクトリアとの同盟もまた結び直して、ちゃんと様子見にくるから。もし何かあったら、絶対俺を頼るんだよ?」
エルヴィドはシエルの頭頂部にキスを落とし、心配そうな顔で何度も振り返りながら、ティエンヌへと戻っていった。
シエルは門を叩き、門番である兵士に名を名乗った。
するとあっさりと中に通され、あっという間に、アルベールの部屋の前にたどり着いた。
「ア………アル様……っ?」
扉を叩いて名前を呼ぶと、ものすごい勢いで扉が音を立てて開いた。
「シ……エル………なのか………?」
「アル様……」
中から現れたのは、グシャグシャに髪を乱したアルベールで、部屋の中は荒らされたのかと思うほど、無残な光景だった。
カーテンは破れて役目を果たしておらず、骨董品だったのだろう陶器や、ガラスの破片が床中に散らばっていた。
片付けるべきなのだろうかと、そわそわしながら中へ入ろうとすると、体がふわっと宙に浮いた。
「ひゃぁ!」
「俺の前から勝手に消えやがって……。お仕置きが必要みたいだな、シエル。覚悟しておけ」
「い…いや!なにっ?!下ろし…て…………」
アルベールに担がれて、身動きの取れる範囲でシエルは必死に抵抗するが、睡眠薬が染み込んだハンカチを鼻口に当てられて、ふっと意識を失った。
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