129 / 266
第129話
ちょうどそのとき、階段から地下牢へと続く扉が開き、大きな袋を担いだ男の奴隷が入ってきた。
「ご主人様、頼まれていた物を持ってまいりました。」
「あぁ。お前は自分の檻に戻れ。」
奴隷は頭を下げ、鎖を鳴らしながら、また自分の檻へ向かって、階段を上がっていった。
「これをやる。」
アルベールが袋を檻の中に投げ入れると、男達はその袋に群がって中身を取り出した。
「あぁん?なんだ、死体か?」
「あぁ。つい最近の死体だ。腹が減ったんだろう?くれてやる」
アルベールはシエルをここに連れて来る際に、奴隷に死体を持って来いと頼んでおいたのだ。
シエルがいない間に、無心に暴れて犠牲になった自国の兵士の死体だ。
しかし、男達はせっかく与えられた食物に納得せず、檻へ手をかけてアルベールに食ってかかった。
「ヴィクトリア、てめぇ俺たちをコケにすんのも大概にしろよ!そいつを寄越せ!!」
「てめぇら、何か勘違いしてないか?」
「あぁ?!!」
大声をあげる男に向かって、アルベールはダーツの矢を投げるように短刀を投げた。
ストンっと男の額に短刀が刺さって、男は白目を剥いて倒れた。
「おまえらを生かすも殺すも俺の自由だ」
ともだちにシェアしよう!