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第134話
「おい!ちゃんと毛布外して俺たちに見せ………っ!!!ギャアアアァアアアア!!!!!」
シエルが達している中、檻に手を掛け大声を出した男は、断末魔の叫びをあげた。
驚いてシエルが顔を向けると、その檻の中では、各自が生き残るべく、人狩りが始まったのである。
シエルへ野次を飛ばした男の首が、コロン…と床に転がっていて、切断された首からはプシャーっと血が吹き出ていた。
「キャァァ────ッッ!!!!」
シエルは惨すぎる光景に目も当てられず、顔を逸らした。
しかし、その檻の様子を見ていた他の男たちも、腹が減ったと牢内に設置された斧や剣を持ち始めた。
ザクッ、グチュッと、人の肉を切り刻む音が響き、目を瞑っても蘇る先程の光景に、シエルは怖さで体をガタガタと震わせた。
皮肉なことに媚薬の効果が、時間と共にどんどん強くなり、すぐそばで人が死んでいく中でさえ、シエルのペニスは膨れ上がって爆ぜた。
「ァッ…、ヤダ、嫌ァッ!!!助けて…、誰か…………」
どれだけ涙を流して助けを求めても、地下深くに隔離された此処からでは誰一人気づかず、そして周りの男たちは、我先にと人にかぶり付くことしか考えていない。
生臭い血の匂いと、二年前の国が滅ぼされていたあの日の光景が重なり、シエルは呼吸の仕方さえ忘れて、はくはくと口を開閉させた。
ピューピューと喉笛が鳴り、浅い呼吸のままシエルは気を失った。
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