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第142話
白く汚れる衣服を見て、シエルは後のことを想像し、怯えた。
このままではアルベールに怒られてしまうのではないか。
それとも呆れられる?
どちらにせよ、いい反応をされないのは明白で、シエルはどうすればいいのかもわからずに、飛び散ったシチューを指に取って舐めた。
自分についている分はとりあえず指で掬ったのだが、シーツや床に溢れた分はどうしようかと手が止まった。
床に落ちたものを取るなんて、自分以外の奴隷のことを思い出す。
初めて見た奴隷の扱われ方は、シエルの脳内に嫌なほど焼きついていた。
ああはなりたくない。
そう思って、性奴隷になることを選んだ。
今考えると、それが正解なのかもわからない。
シエルが手を止めたまま物思いにふけっていると、部屋の扉が開いて奴隷である女が入ってきた。
「シエル様、どうされたのですか?」
「ん……と……、シチュ……こぼしちゃ…て……」
「すぐにお拭きしたいのですが、私アルベール様の命令がないと何も出来ないので……。すぐにお聞きしますね」
「あ……、や!!」
『やだ』と言う前に、奴隷は部屋を出て行ってしまい、シエルはアルベールが来て怒られてしまったらどうしようと頭を抱えた。
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