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第145話

「あぁ……、悪い。おまえは、ああいうのが苦手だったか」 「はい、とても。それに、最近あの子どものために、奴隷をよく使うようになったでしょう?私じゃ駄目なのですか?貴方が奴隷などという下等な人間を使うのが、私は気に入らないのです」 「……まぁ考えておく。今は下がってくれ」 アルベールはバルトを下げ、シエルのいる部屋へと足を運んだ。 扉が開き、その隙間から一筋の光が射した。 シエルはビクッと震え、扉の方へ向けた。 そこに居たのは、アルベールだった。 シエルの下肢はシチューで汚れたままで、シエルは怒られてしまうと、目を瞑って身を硬くした。 アルベールの足音はすぐそばで止まったが、怒声も痛みも降ってこず、不思議に思って目を開くと、視界は真っ暗であった。 「俺が怖いんだろう?暫くそれ付けておけ」 シエルが目元を触ると、さらさらとシルクのような感触がした。 アルベールはシエルが怖がらないよう、目隠しを付けたのだ。 「ア…アル様……っ、ひぁっ!!」 突然、ぞくぞくっと全身を駆け抜けるような快感が走り、何が起こったか分からないシエルは、高い声をあげた。

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