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第148話

「アル様……?」 ピクッと反応したシエルは、アルベールを見上げて首を傾げた。 アルベールに優しく触れられたのが、随分と久しぶりで、シエルは嬉しくて、微かに口角を上げた。 シエルが嬉しそうにするものだから、アルベールも悪い気はせず、シエルをそっと抱き寄せた。 シエルは少し安心したように息を吐き、おずおずとアルベールの背中に腕を回して、控えめながらに抱きついた。 「このまま寝るか」 「ふ………、ぅん」 シエルの大きな目が何度もうつらうつらと揺れているのに気づき、アルベールは布団を被せて共に眠りについた。 いつもなら感じない胸元にある温かみに、アルベールはうっすらと目を開いた。 自分に寄り添って、シエルが一定のリズムで寝息を立てながら眠っている。 そういえば一緒に寝たんだったなと、シエルにされた目隠しを外すと、気持ちよさそうに微笑む顔が見れた。 目隠しをもう一度付け直してやり、時間を確認して、そろそろ動かなくてはと、アルベールはベッドから立ち上がった。 「ぅぅ……」 「おい…」 離れようとすると、寝惚けているのか、シエルはアルベールの服の裾をぎゅっと掴んで離さなかった。

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