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第159話
「バルト」
「はい。どうされましたか?」
「おまえはクライトマンをどう思う?」
「クライトマン皇帝ですか…。彼は聡明で、国民に優しいお方だと思いますよ」
「おまえの嫌いな奴隷に、邪な扱いをしているのにか?」
「アルベール様…」
バルトはアルベールの足元に跪き、目を合わせた。
「きちんと彼を見てあげてください。あの方は奴隷制度に対して、批判しております。彼の連れ帰った奴隷たちは今、彼の国で明るく過ごしておられるのです。表向きには性奴隷に酷い扱いをしているように見せられていますが、彼は私が任せられているオークション会場にも、何度か足を運んで、ヒューマンオークションの廃止を訴えております」
「どういうことだ…」
「私は一生アルベール様にお仕えすると決めておりますし、貴方を尊敬しております。しかし、クライトマン皇帝の統率力や考え方にも、非常に尊敬しているのです。彼はとても心の優しいお方です。貴方が一奴隷に関して悩む気持ちはお察ししますが、私はティエンヌと同盟を結び直すべきだと考えております」
バルトはアルベールを導こうと、解雇されるのを覚悟で長々と意見を述べた。
余りにも真剣な目で訴えるバルトに、アルベールも少しエルヴィドの話も聞いてやろうと、考えを改めた。
「ちなみに、なんだが……」
「はい」
「また俺が刺されたら、おまえはどうする?」
「あのことですね…。
あの件については、私も驚きました。彼がそんな衝動的な行動に出るとは思わなかったので」
バルトはそう言い、話を続けた。
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