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第166話
「もう少しだけ、シエルと話をさせてくれ……」
エルヴィドはアルベールに背を向け、またシエルの部屋へと入っていった。
バルトは乱れた衣服を軽く整え、アルベールの前に跪いた。
「アルベール様。私、先ほど初めてあの少年とお会いさせていただきましたが、その……」
「どうだった、シエルの様子は」
「……はい。クライトマン皇帝と一緒に居ると、とても落ち着いてる様子でした。性的な行動は一切なく、シエル様から恋愛感情が見られることもなかったです」
「そうか……」
「もし、アルベール様が少しでもあの少年のことを気にかけているのであれば、定期的にクライトマン皇帝と会わせるのが得策かと…」
「考えておく」
バルトは頭を下げて、エルヴィドの監視をするために後を追ってシエルの部屋へと入っていった。
一人になったアルベールは、シエルの件や同盟の件を踏まえた上で、これからエルヴィドとどう仲を取り持っていくか、考えを巡らせていた。
20分ほど経った時、扉が開いて中からバルトが現れ、アルベールに頭を下げた。
「アルベール様、中へお入りください」
意味がわからないまま、アルベールは部屋の中へと入った。
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