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12章【奴隷制度を憎む者】
時刻は午後4時、
今回はアルベールが大きな国を取り込もうと作戦を立てたために、その間戦力の減るペリグレット軍に加勢してほしいと、エルヴィド率いるティエンヌ軍への協力要請だった。
「わかった。期間は長くて三ヶ月だね?随分長くなるようだけど、その間シエルはどうするつもり?」
「まだ先の話だ。それまでに考えておく」
「ふぅん、そっか。じゃあ今日はお開きで。また来月、お邪魔するね」
かなりの大国に戦争をけしかけようとしていることから、多くの期間と犠牲を生むのは明らかだった。
エルヴィドからすれば、守りの援軍を寄越すくらい造作もないことだが、それよりもシエルが心配だ。
先ほど話をして、精神的にも肉体的にも、かなり落ち着いているように見えたが、それはアルベールがそばにいるからだ。
悔しい反面、シエルの悲しい顔は見たくなくて、あまりこの戦争に賛成したくはないのが、エルヴィドの本音である。
「お……っと、バルトさんに時間とってもらってるんだった」
エルヴィドは時計を確認して、慌ててバルトの私室へ足を運んだ。
バルトの部屋は、渡り廊下で別棟に渡ってすぐにある。
いつもこの広い王宮を忙しなく歩き回っているのかと思うと、少し気の毒になった。
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