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第188話

カルバン王が帰国したことを確認し、バルトは姉の腕を引っ張り、自分の部屋へ入って鍵を閉めた。 「姉様!あんな事されてるなんて、僕知らなかったよ!!どうして、父様や母様に言わないの?!」 「バルト……」 「あんなおじさんに触られて、気持ち悪くないわけないよね?!父様なら、きっとなんとかしてくれるよ!!ちゃんと酷いことされてるって言わなくちゃ…!」 「いいの、バルト。いくら私達が貴族でも、王様なんかに逆らったらお終いよ。あれくらい平気だから、ね?」 「でもっ……」 レベッカはまだ何か言いたげなバルトを宥めて、自室に戻っていった。 カルバン王の来訪日は日に日に増えてゆき、カルバン王が来訪した日の夜には、レベッカの部屋から啜り泣く声が聞こえていた。 バルトは何度も、両親にそのことを伝えようとしたが、その度にレベッカに邪魔をされて、結局言うことはできなかった。 そしてある日、王はレベッカが抵抗しないのをいいことに、一度だけ部屋に上がり込んだ。 その日からレベッカの笑顔が消え、下町にも顔を出さなくなったことを、バルトは今でも鮮明に覚えている。 12歳の幼いバルトには、その日何が起こったかなんて想像もつかなかった。 しかし今ならわかる。 姉から笑顔が消えた理由も、 突然下町に行かなくなった理由も。 レベッカはカルバン王に、 女としての全てを奪われたのだ。

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