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第191話

二人が結婚して半年が経ったある日、 ジューベル家に、ある一通の手紙が送られてきた。 送り主の名前が書かれていない、 真っ白な封筒。 「きゃぁ!!」 「どうした、レベッカ?!」 「こ……、これ………」 その手紙に書かれていたのは、 【今宵、奴隷として貴女を迎えにいきます】 という言葉。 そして、その手紙はレベッカに宛られたものだった。 何か嫌な気を感じ取った両親は、ゼルとレベッカを離れに隠し、今夜だけ三人で暮らす家族を偽ることにした。 そして夜の八時、 ピンポーン……と静寂に響くインターホンの音とともに、ジューベル家を訪れたのは、三年前にレベッカの身も心もボロボロにした張本人である、カルバン王であった。 「ジューベルご夫妻、これはこれは、お久しぶりです」 「カルバン王……、お久しぶりにございます」 にやにやと笑うカルバン王を前に、両親は作り笑いを浮かべながら、深く頭を下げ、挨拶をした。 「今日はどういったご用で?」 「昼に手紙が届いただろう? 奴隷として、レベッカを引き渡しなさい」 「自分の子を、易々と奴隷なんかとして渡すわけがないだろう!!」 父がそう抵抗した瞬間、パァンッという銃声音がした。 父親が倒れ、口からは血が流れていた。

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