191 / 266
第191話
二人が結婚して半年が経ったある日、
ジューベル家に、ある一通の手紙が送られてきた。
送り主の名前が書かれていない、
真っ白な封筒。
「きゃぁ!!」
「どうした、レベッカ?!」
「こ……、これ………」
その手紙に書かれていたのは、
【今宵、奴隷として貴女を迎えにいきます】
という言葉。
そして、その手紙はレベッカに宛られたものだった。
何か嫌な気を感じ取った両親は、ゼルとレベッカを離れに隠し、今夜だけ三人で暮らす家族を偽ることにした。
そして夜の八時、
ピンポーン……と静寂に響くインターホンの音とともに、ジューベル家を訪れたのは、三年前にレベッカの身も心もボロボロにした張本人である、カルバン王であった。
「ジューベルご夫妻、これはこれは、お久しぶりです」
「カルバン王……、お久しぶりにございます」
にやにやと笑うカルバン王を前に、両親は作り笑いを浮かべながら、深く頭を下げ、挨拶をした。
「今日はどういったご用で?」
「昼に手紙が届いただろう?
奴隷として、レベッカを引き渡しなさい」
「自分の子を、易々と奴隷なんかとして渡すわけがないだろう!!」
父がそう抵抗した瞬間、パァンッという銃声音がした。
父親が倒れ、口からは血が流れていた。
ともだちにシェアしよう!