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第192話

「キャアーーー!!!!」 「父さん!!!」 バルトは母親と共に、父へと近付こうとしたが、カルバン王は銃口を母に向けた。 「レベッカの居場所を吐け。 大人しく出さないと、お前も撃つぞ?」 王はニヤリと笑って、そう言った。 「………バルト、逃げなさい」 「え……?」 「早く!!!」 母は王に聞こえないよう、小さな声でそう言い、バルトは隙を見て、全力で家の外へ駆け出した。 パァンッ─── 庭の茂みに身を隠したとき、 二回目の銃声が響いた。 バルトは全てを察して、声を出さずにボロボロと涙を流した。 家の明かりが付き、大きな物音がする。 王がレベッカを求め、家中を探し回っていることは明白だった。 そして、王は本家を出て、倉庫のように見える離れに目を向けた。 両親が命懸けで守ってくれたものを無駄にするわけにはいかないと、バルトは王の目をかいくぐって本家に戻り、急いで地下に備えていた拳銃を取り出した。 そして、目を細めて王に焦点を当て、銃の引き金を引こうと指をかけた瞬間、フッと意識が途切れた。

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