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第193話
目を覚ますと、バルトは両手足首をロープで縛られ、椅子に固定されていた。
「な………んで……」
目の前に広がる光景は、信じられないものだった。
夫であるゼルの前で、王に犯される姉の姿と、
何人もの大男に身を拘束されて、妻が強姦されるのを見ていることしかできないゼルの姿。
「やめろ!!やめてくれ!!!」
「……ひぅっ……!!ァア……や……やめて……」
ゼルは叫ぶことしかできない。
幸せを取り戻し、やっとのことで笑顔を取り戻せそうだったレベッカは、生気のない瞳から涙を流し続けた。
「もう…いっそ殺して……!もうやめて……」
「そんなに殺してほしいか?ならお望み通り、殺してやろう」
レベッカは覚悟を決めて瞳を閉じるが、銃声が鳴っても、レベッカに痛みはなかった。
目を開けると、そこには心臓近くを撃ち抜かれたゼルの姿。
「イヤァアアア──────ッッッ」
「君が抵抗するからだよ、レベッカ。
大人しく君が私の城へ来ていれば、両親もこの男も助かったのに。全てを壊したのは君なんだよ、レベッカ」
カルバン王は泣き叫ぶレベッカを連れて、離れを後にした。
王の付き人は離れを出る際に、火のついたマッチを落としていった。
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