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第200話

激しいセックスに疲れ切って、意識を飛ばすようにシエルは目を閉じた。 ぐっしょりと濡れたシーツを放っておくわけにもいかず、アルベールは書斎に行くついでに、バルトの私室へ足を延ばした。 すると、別棟へ続く渡り廊下で、とっくに用も済ませ、ここにいるはずのないエルヴィドと出会った。 「あ、ヴィクトリア。例の件、承諾するよ。 ペリグレットがどんな大国になるか、楽しみだね」 エルヴィドに何をしにここへ来たのか聞き出す間も無く、早足で去って行った。 アルベールはバルトへ聞こうと思い直し、部屋へ向かった。 ノックもせずに扉を開けると、バルトはソファに腰をかけ、額に手を当てて俯いていた。 「バルト」 アルベールが声をかけると、バルトは肩を揺らして顔を上げた。 そして、さっと身なりを整えて背筋を伸ばし、アルベールに頭を下げた。 「何かご用でしょうか、アルベール様」 「あぁ。シエルのベッドシーツを交換してくれ」 「かしこまりました」 バルトがもう一度頭を下げて出て行こうとしたが、アルベールは少し様子のおかしいバルトが気になった。 「クライトマンは、ここにきたのか?」 「……はい」 「何を話した」 「……私の、昔話です」 「そうか」 バルトの過去を知っているアルベールは、その一言だけで、バルトの様子にも、エルヴィドの言葉にも納得がいった。 「カルバンへの出陣は準備が出来次第、すぐに行う。おまえの恨みを晴らす時だ。しっかり気持ちの整理をしておけ」 アルベールがそう言うと、バルトは微笑んで、その場を後にした。

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