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第208話

ヒリヒリと痛む感覚に、シエルはふと目を覚ました。 ばっと体を起こし辺りを見渡すが、そこは自分の部屋じゃない。 いつか見た、エルヴィドの広い部屋で、中庭に続くガラス戸からは、柔らかい日差しが差し込み、部屋を明るく照らしている。 ふかふかのベッドの上には、前は置いていなかったクマやウサギのぬいぐるみが置いてあった。 シエルはクマの隣にある、ウサギの大きなぬいぐるみを手にとって、ギュッと抱いてみた。 「シエル、起きた?」 「エル………」 ノック音とともにエルヴィドが部屋に入り、ベッド脇の椅子に座った。 「ウサギさんが好き?」 「………………うん」 「そっか。可愛いもんね?たまに中庭にも遊びに来るから、また遊んでおいで」 「うん!」 「肌は?痛む…?」 「…………っ!」 エルヴィドが大きな手のひらで包み込むようにシエルの顔に触れると、日焼けした箇所がピリピリと痛み、シエルは顔をしかめた。 エルヴィドは持ってきた軟膏壺に入った薬を指に取り、シエルの頬や鼻筋に塗布した。 「中庭で取れた薬草でつくった薬だよ。よく効くから、我慢して」 「うぅ……」 「鏡見る?真っ赤になってるよ?」 いやいやと首を振るシエルに、エルヴィドは少し罪悪感を感じながらも、日焼けした箇所全てに薬を塗った。 即効性の薬のため、すぐに肌に馴染んだのか、シエルは気持ちよさそうに、もう一度目を閉じた。

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