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第212話
「んぅ………」
ドアのノック音が聞こえたために、シエルは薄っすらと目を覚ました。
日が沈み、明かりもつけていない部屋の中は真っ暗だった。
隣ではエルヴィドの端正な寝顔があり、シエルはエルヴィドの頬をつついた。
「ん……。あれ?俺も眠ってたのか」
エルヴィドは仕事疲れでシエルと一緒に眠ってしまい、そのまま二時間が経っていた。
「エル、ご飯だって。さっき呼びにきたよ」
「ほんと?じゃあ大広間に行こうか。
今日はシエルが来るから、シエルの好物にしてもらったよ」
エルヴィドはシエルの手を取り、歩幅を合わせて歩きながら、大広間へと向かった。
テーブルの上には、既に豪勢な料理が用意してあり、シエルの好きなピラフや温野菜も、多過ぎるほどに並べられていた。
「シエルは細いんだから、たくさん食べてね?少し肉つきがある方が、ヴィクトリアだって好きだろうさ」
「が……、頑張る!」
シエルは小分けのお皿に盛ってもらった食事を、小さな口に何度も運んで飲み込んだ。
エルヴィドは懸命に食事を口に入れるシエルを見ながら、ワインを嗜んでいた。
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