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第215話
「本当に一緒に寝なくて大丈夫?」
ベッドにシエルを横たえ、エルヴィドは心配そうに顔を覗き込んだ。
エルヴィドは一緒に寝るつもりで居たのだが、シエルは一人で寝ると言って、口をきかなかった。
自分の意見をはっきり言えるようになってきたのはとても良いことなのだが、今日業務中離れて居ただけで寂しいと言っていたのに、本当に大丈夫だろうかと、少し不安に思った。
「怖くなったら、すぐに呼ぶんだよ?ドアの付近に使用人も立たせておくから、何かあればその人に声をかけて」
エルヴィドはシエルの額にチュッとキスを落とし、頭を撫でて、部屋を出て行った。
シエルはヘッドライトを付け、ベッドの上に丸くなった。
アルベールが近くにいないのはとても不安で、胸がざわざわとして落ち着かない。
いつもなら一人なんてどうってことないのだが、アルベールが近くにいないと寂しくて、昼間はついエルヴィドを頼ってしまった。
「アル様……」
アルベールのことを思い出しながら、シエルはそろそろと下に手を伸ばした。
けれど、触れようと思ったソレは冷たい鎧で覆われて、触れることすらできない。
「んぅ……。アル様……っ……、ヒグッ……」
シーツに顔を埋め、嗚咽を殺しながら、シエルは泣き続けた。
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