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第216話
夜中の二時、
シエルは未だ寝付けず、アルベールを思いながら窓の外に視線をやった。
すると、窓の外に人影が見えた。
その人影はコンコン、と窓を爪で叩いた。
シエルは怯えて頭まで布団を被ったが、
「シエル」と呼ぶ声に、頭を出して少し視線を窓にやった。
窓の外にいたのは白髪で白い瞳の、少し不気味な雰囲気を纏った青年だった。
シエルは怯えながらも窓に近づき、鍵に手をかけて窓を開けた。
「なんで………、僕のこと知ってるの……?」
「ふふ…。僕のことを秘密にするなら教えてあげるよ、シエル」
青年は目を細めて笑いながら、シエルの顎を人差し指でツーっとなぞった。
「でも……」
「じゃあ、これだけ教えてあげる。
僕の名前はライ。
君と同じ、メジエールの生き残り。
君と会いたかったんだ、シエル王子」
「えっ…!ほんとに?!」
「本当だよ。僕のこと知りたかったら、僕のことを口外しないことが約束。」
「する!!約束する!誰にも言わないから、君のこと、もっと教えて!」
自分以外に生き残りが居たなんて思いもしなかったシエルは、何度も頷いて約束を守る意向を示した。
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