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第217話

ライはニコリと笑いながら、メジエールの国の者しか知り得ないような、国だけに伝わる言い伝えや、昔のメジエールの話をした。 シエルもそれを聞きながら、懐かしさに涙を浮かべた。 「本当に、僕以外にも生き残ってる人がいたんだ…。よかった………」 「君がオークションに出品されてしまったときは驚いたけどね。僕も捕まっちゃうんじゃないかって、怖くてたまらなかった…」 ライは目を伏せながらそう言った。 そして、時計を見て、目を見開いた。 「あ、もうこんな時間。今日はもう行かなくちゃ。また、会いたいな…」 「僕も…!ねぇ、次はいつ会える?」 「かなり先になるかもしれない。 ねぇ、シエル。本当に僕のことは秘密だからね?メジエールにもう一人生き残りがいたってことも内緒。今日のことは全て忘れて、僕とは会わなかったことにするんだよ?」 「うん!約束する!絶対にまた会おうね!」 ライは笑みを浮かべたまま、 シエルに背を向けて遠くへと走っていった。 シエルは少し気が紛れて、その後はゆっくりと寝付くことができた。

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