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14章【弱肉強食】
ペリグレット軍が出陣して一週間、
カルバンへはあと半分といったところか。
順番に休憩を取りながら進んでいるため、兵士たちの調子も良く、いつ敵が来ても応戦できる状態を保っている。
「バルト。カルバンへはまだ先だ。先に獲るのは、手前にある小規模要塞だ。そんな気を張るな」
「はい。わかっております…」
バルトは依然、ピリピリした状態のままで、休憩もとっておらず、アルベールは少しだけ気を配った。
しかし、バルトよりも気になって、アルベールの頭の片隅にずっと留まり続けているのはシエルだった。
"好き"と伝えられてから、余計にシエルを手放したくなくなってしまった。
長く離れている間に、心変わりしてエルヴィドの所に行ってしまってもおかしくない、と少しの不安を拭えない。
つい先日、ティエンヌ軍の鷹が、足に手紙を巻きつけ、アルベールのところへ飛んできた。
括り付けられていたのはシエルからの手紙で、綺麗とは言い難い字で、最近あったことや思いの丈が綴られていた。
エルヴィドから、現在のペリグレットの状況やシエルの状態、カルバンの動きなどが詳しく書かれた紙を見て、その鷹にエルヴィドへの礼とシエルへ一言だけ手紙を書いて預けた。
もうすぐ、カルバンの所有している小規模要塞に着く。
そこに攻撃したその瞬間、
この戦争が幕を開けるのだ。
「とうとうだな…」
アルベールは舌舐めずりをし、眼光を放った。
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