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第221話

「エル…?」 「……っ、ごめん!シエル、どうかした?」 「エル、何か考え事してたから…。眉毛のとこ、ウーってなってるよ?」 「あぁ…、ごめんね…」 どうやら、考えているうちに眉間にシワが寄っていたようで、シエルは心配そうに、エルヴィドの顔を覗き込んだ。 エルヴィドは眉間のシワを指で解して、一度息を整えた。 シエルはとても感情に敏感な子だ。 こうやって、悩みや不安を見せたりすると、すぐに何かを感じ取ってしまう。 アルベールの今の状況を知ったら、また眠れぬ日が続いてしまうだろうか。 できれば余計なことは、考えさせたくない。 アルベールが負けるなんて、いらぬ不安だ。 「早く帰ってくるといいね」 「うん!」 ただ、今は穏やかに……。 この笑顔を守らなくてはいけない。 エルヴィドは戦争については触れず、シエルにはその件について、何も言わないことにした。

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