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第222話

その頃、アルベール率いるペリグレット軍は、カルバンから離れた小規模要塞に辿り着いていた。 小規模とは言っても、この要塞にはカルバンの戦力が多少なりとも固まっている。 ここを壊滅させることで援軍を減らすことができる。 つまり、カルバンの本拠地に攻めるに当たって、戦力を削ることができるのだ。 空には満月が輝き、雲が月を隠す。 辺りが暗闇と静けさに包んだ時、 アルベールが合図をした。 「準備はいいな?行くぞ」 その合図とともに、要塞を取り囲んだペリグレット軍は、深夜で見張りも少ない要塞へ奇襲をかけた。 「うっ…!!!」 真っ暗な中、バタバタと静かに倒れていく敵国の兵士達。 要塞全体が異変に気付いて騒ぎ出したのは、外側を守る兵士を全部倒した後だった。 その時点でカルバン要塞の戦力の約三分の一は、既に削り終わっていただろう。 アルベールが加勢しなくとも、ペリグレット軍の鍛えられた兵士達だけで、この小規模要塞をあっという間に制圧することに成功した。 「呆気なかったな」 アルベールは要塞から少し離れた高台から、バルトと共に、要塞が燃え盛るのを眺めていた。

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