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第224話
出陣して約1ヶ月、
ペリグレット軍はカルバンの小規模要塞を次々と制圧し、とうとうカルバンも軍をあげて対抗し始め、既に大きな戦争が始まっていた。
報告を受けたエルヴィドは、ティエンヌの兵の約三分の一に、ペリグレットへ加勢することを命じた。
「エル〜!今日はアワアワの日?」
何も知らないシエルが、ひょこっと部屋に顔を出した。
エルヴィドは一人の兵士に、アルベールと事前に考えておいた配置表を渡し、チームに分けて行動するように言い渡した。
そして、不安そうにエルヴィドを見つめるシエルの前にしゃがみ込んだ。
「遅くなってごめんね。今日はアワアワの日だけど、俺は一緒に入れない。一人でも入れる?」
「うん…。何かあったの?」
「シエルは何も心配することないよ。落ち着いたら、また部屋に行くね」
兵士が忙しく走り回る様子を見て、シエルは不安そうに眉を下げた。
エルヴィドはシエルの頭を撫で、シエルが部屋に戻るのを見送った。
おそらく、シエルは兵が動いてることで、何か良くないことが起こっているのだと察しているのだろう。
現にペリグレット軍は、数多くの要塞を堕とし、兵士の数もグンと減っているはずだ。
「困ったな…。うちの兵を危ないところへ送るのはさすがに…」
エルヴィドは椅子に腰掛けて、戦争の勝ち筋を考え込んだ。
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