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第226話
「あなたは……」
「御機嫌よう。シエル=ランベリク。久しぶりに会えたわね」
部屋のソファから立ち上がり、シエルの前に現れたのは、以前にも此処で会った、ミリィ=シャーロットだった。
ミリィはヒールを鳴らし、少しずつシエルとの距離を詰めてくる。
「なんで…ここに……」
以前エルヴィドは、もうシエルとミリィが会わないようにと、城の警備を強化すると言っていた。
けれど、彼女は当たり前のようにそこに立っている。
ミリィに苦手意識のあるシエルは、ガタガタと膝を鳴らし、その場で立ち竦んだ。
「なんでって、そりゃペリグレットとカルバンの戦争が始まっちゃって、此処の兵士も、あなたを守るどころじゃないからじゃないかしら?
警備もガバガバで、この通り、すぐ入れちゃったしね」
「戦争……」
シエルはさっきの嫌な予感が当たったのだと、青褪めた。
けれど、エルヴィドが教えてくれない真実を、彼女なら話してくれるのではないかと、ミリィに視線を合わせた。
「ペリグレットは……、
アル様は、勝てそうなんですか……?」
この状況かつ、不安の魂胆であるアルベールの現状を聞くことに、嫌でも声が震えた。
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