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第227話
シエルの問いかけに、ミリィは楽しそうにクスクスと笑った。
「ペリグレットは今、劣勢ね。まだカルバンに着いていないのに、兵力がごっそり減っちゃってるんだもの。さすがのアルベールでも、今の状況は厳しいかもね」
「え…、嘘……」
ミリィの言葉にシエルの不安は一層増して、みるみるうちに顔色が悪くなっていく。
そんなシエルの様子を見て、ミリィはある交換条件を提示した。
「私の国、【ラブリエル】から、ペリグレットに援軍送ってあげてもいいわよ」
「……っっ!!ほんとにっ?!」
「えぇ。あなたが今此処で死ぬならね」
「し…、死ぬ…………?」
固まるシエルを見て嘲笑いながら、ミリィは長く綺麗な爪でシエルの首筋をなぞった。
「そんな勇気あるわけないわよね。死んだら会いたくてたまらないアルベールに会えないもの。でも、私だって自分の国の戦力を無条件に減らすのは嫌よ」
「で…、でも、あなたもアルベールが死ぬのは嫌なんじゃ……」
「そりゃね。でも、カルバンはきっとアルベールを殺さないわ。生かしてあなたみたいにヒューマンオークションにでも賭けるんじゃないかしら?『元、世界最恐の奴隷』ってところかしらね?そうなれば、私が買うだけの話よ」
想像できないようなことを口にされ、シエルは信じられないと思っていても、不安になってミリィに助けを乞いた。
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