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15章【戦争】

「ーーーークソッ!!」 アルベール率いるペリグレット軍は、ここへ来るまでに数多くの兵士を失い、カルバンを目の前にして、かなりの劣勢状況に陥っていた。 アルベールはカルバンを睨みつけ、自身の拳を岩に叩きつけた。 「アルベール様っ!そのような自身を傷つけるような行動は、おやめください」 「………」 「この兵の数では、状況がかなり厳しいです。一度引いて、態勢を立て直すのが得策かと…」 「黙れ。まだ策は何かあるはずだ…」 バルトの言葉に耳も貸さず、アルベールは何か良い案はないかと座り込んだ。 カツ...カツ...カツ... 軽やかな音はアルベールのすぐそばで止まった。 アルベールは足元だけで誰なのかすぐ察し、舌打ちをした。 「一体こんな時に何の用だ、ミリィ」 戦場にそぐわぬ格好でそこに現れたのは、数千人の兵を従えたミリィだった。 「うちの国の中でも腕の立つ兵士、ざっと五千人は連れてきたわ。好きなように、使っていいわよ」 「どういうつもりだ」 「やーね。愛するアルベールのためよ。理由はそれだけじゃ、駄目かしら?」 ミリィは近くの岩に腰掛けて、細く長い脚を組んだ。

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