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第232話

まだ陽も昇っておらず、深い霧が立ち込める朝、 軍の配置を再度確認したアルベールは、息を吸って大きく声を放った。 「出陣せよ!!」 その命令と共に、各地で構えていたペリグレット軍、および、ラブリエル軍は四方八方から、カルバンへと攻め入った。 初動に大砲を十発放ち、閑静な街は一瞬のうちに大混乱。 薄っすらと朝焼けが見え始める中、カルバンは真っ赤な火で燃え盛った。 カルバンはペリグレットが制圧した場所とは、また違う地方にも拠点を置いているが、援軍が来るには少し遠い。 そして、中心であるここを制圧し、カルバン王の首を取れば、ペリグレットの勝利である。 しかし、さすがのカルバンも戦争中に気を抜いているわけもなく、城からペリグレット軍へ向けて反撃が開始された。 「怯むな!城への道を作れ!」 アルベールの声に従い、城へとまっすぐに道が切り開かれた。 馬に乗ったアルベールとバルト、そして、兵の中でも選りすぐられた数人がその道を通り、一直線に城へと攻め入った。 「姉様……っ!!」 バルトはギリっと奥歯を噛み締めて、復讐に闘志を燃やした。

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