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第233話
カルバン城内に入ると、次々と兵がかかってくるが、アルベールは得意の剣術で、次々と敵兵を倒していく。
アルベールの背中は、右腕であるバルトが完璧に護衛し、二人は息を合わせて、ぐんぐんと奥へ進んでいった。
先陣を切ったアルベール達に続き、ラブリエル軍も合わせて後方から城内へ入り、彼方此方で剣の交える音や、銃声が鳴り響く。
「バルト、こっちだ」
螺旋状の階段を登り、各フロアから湧くように出てくる敵兵を蹴散らし、階段で登れる限界のフロアまで達した。
「なんですか、ここは……」
「なかなか趣味が悪いな」
バルトは驚いたように目を見開き、アルベールは顔を顰めた。
フロア全体に漂う甘い匂いに嫌気を感じて、アルベールは鼻にハンカチを当てた。
先ほど通過してきた石で作られていた城とは、別の場所かと思わせるほど、そこはふわふわと別世界のような空間であった。
床全体に生花が散りばめられており、壁は淡い桃色、そしてたくさんのガラスケースと、その中には裸の女奴隷が収容されていた。
女達は瞳に光を宿さず、まるで生気がないようだ。
「気味が悪いな。おまえの姉は?」
「……いません」
「なら、ここには用はないな」
アルベールがフロアを過ぎようと足を進めるが、バルトは立ち止まり、そこから動こうとはしなかった。
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