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第237話
エルヴィドはシエルを抱きしめて、落ち着くように背中をさすった。
使用人が持ってきた蒸しタオルを受け取り、シエルに渡すと、シエルは真っ先に性器に手をやった。
先ほどからのシエルの行動を見て、エルヴィドは一番考えたくもない予感が頭をよぎった。
ミリィはシエルを強姦した。
信じたくはないが、ここへ来た時のシエルの状況や行動を考えると、それが一番辻褄があう。
ここに来たのは、あの短刀を見る限りミリィのはずだ。
あれだけ強化を固めたのにも関わらず、ペリグレットへ援軍を送ることでごたついていた、その一瞬のうちに、ミリィは監視をかいくぐり、ここまで入って来たようだ。
さすがと言うべきか、しかし、シエルをこんな傷物にされて、許されるわけがない。
しゃくりあげながら、蒸しタオルでまた性器を強く擦っているシエルを見て、エルヴィドはシエルの手の上に自分の手を重ねて、優しく性器を拭いてやった。
「怖かったね。痛かったね。
よく耐えたよ、シエル」
「ゔぅ〜〜…、うわぁーーーーーん」
珍しく大きな声で泣くシエルを見て、ちゃんと悲しみを表出できたことに、少し安心感を覚えた。
エルヴィドがしばらくシエルを抱きしめていると、シエルは疲れが溜まり、眠そうに目をとろんとさせていた。
けれど、腿が痛むのか、時々唇を噛んでいたため、横抱きにして医務室へ連れて行った。
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