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第238話
麻酔をかけて腿の傷を縫ってもらったが、やはり少し痛々しい。
包帯を巻いてもらい、しばらくは傷が再開しないよう、安静にしなさいと言い渡された。
鎮痛剤を飲んで、痛みを抑えられたおかげか、シエルはエルヴィドの私室で、やっと眠りについた。
「ヴィクトリアに連絡……、って状況でもないな」
アルベールのことだ。
戻ってきたときにシエルのこの脚を見れば、エルヴィドの信用がかなり落ちることは、目に見えている。
けれど、今連絡を送って、アルベールがシエルを優先したとすれば、劣勢状態であるペリグレットからアルベールが抜けることで、戦争は"敗北"で終わってしまうだろう。
怒られることは覚悟で、今はシエルの心と体の傷が癒えることを優先し、アルベールへの連絡は控えようと決めた。
「エルヴィド様。今から五部隊、カルバンへと向かいます」
「あぁ。くれぐれも死者が出ないように。君たちのことは信じてるよ」
エルヴィドは戦場に援軍を送ることを決め、自国のほとんどの兵士をペリグレット城と戦地へと送りこんだのだ。
「勝てよ、ヴィクトリア」
エルヴィドは星が瞬く夜空を見つめて呟いた。
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