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第239話
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「お待ちください!!」
「貴様らは……」
アルベールの後方に跪いた兵士は、ティエンヌが誇る最強の五部隊だった。
ティエンヌ負けなしの所以は、この五部隊の特攻力とも言われるほどの実力で、アルベールもずっとマークしていた。
「エルヴィド様の命で、参上しました。最上階までお供いたします」
「あぁ。そいつも運べ」
五部隊で医療技術を持つ者が、バルトの頭部をきちんと応急処置をし、アルベールの後に五部隊も続き、次のフロアへ踏み出した。
「下の状況は?」
「下の層はほぼ、ペリグレット軍が制圧しております。あとはここから上、カルバン王の首を討ち取るだけです」
「御苦労。貴様らは後ろからの援護を頼む」
「承知いたしました」
階段を登り切ったその瞬間、斧を振り回した敵兵がアルベールに向かって、一直線に突進してきた。
しかし、アルベールはそれを華麗に避け、心臓を一突き。
圧巻と言うべきか、アルベールの得意とする剣術と、それを援護するように五部隊の誇る銃撃で、カルバンの猛者たちはあっという間に壊滅した。
「あとはカルバン王、あいつだけだ」
アルベールは血の滴る刀を振るい、眼光を光らせた。
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