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第241話

一連のやりとりを見たカルバン王は、ニヤリと笑い、レベッカの首を掴んで、バルコニーに出た。 「貴様、もしかして、あの時の生き残りか? こんなところで会うとは、おもしろい!」 「姉……様…………」 「おっと、動くなよ?これ以上、こっちに近づく様子を見せたら、この女をここから落としてやる!」 カルバン王は高らかに笑いながら、いつでもレベッカを落とすことができることをアピールした。 「ちっ。不味いな」 今までこのために頑張ってきたバルトのためにも、レベッカは救い出してやりたいと、アルベールは頭を働かせた。 「……………逃げて」 レベッカはそう呟いた。 「おい。一旦引くぞ」 アルベールはそう言って、カルバン王に背を向けた。 カルバン王が武器を持っていようが、もうこの城のカルバン兵はほぼ壊滅している。 出口さえ抑えてしまえば、カルバン王は立て籠もることしかできないのだ。 どちらにせよ、この状況でカルバンの勝利は1%もない。 アルベールの背中をティエンヌ兵が守りながら、部屋の外へ戻ろうと後退するが、バルトだけは下がらなかった。 「私だけ、ここに置いていってください」

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