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第244話

「ご迷惑をお掛けしてしまい申し訳ありません」 馬車の中、バルトは申し訳なさそうに、アルベールに謝罪した。 「助けられなくて残念だったな」 「…………はい」 「でもお前の姉は、幸せそうな顔してたじゃないか」 「…………っ」 「お前はその分生きろ。それがおまえが返してやれる礼だ」 アルベールはバルトに、遺骨の入った骨壺を手渡した。 「アルベール様。私、バルトは貴方に一生涯お仕えすることをここに誓います」 「いつかも聞いた言葉だな。いいだろう。俺の右腕として、一生涯俺に尽くせ」 バルトは決して涙をこぼさず、歯を食いしばってアルベールに跪いた。 大切な家族のために、カルバンという、とてつもなく大きな勢力に復讐を実行できたのは、アルベールのおかげだ。 バルトは家族の恨みを晴らせたことで、次の目標がきちんと定まった。 「いつまでそこで座ってるんだ。リハビリにでも行ってこい」 「はい」 アルベールにそう言われ、バルトはにこりと微笑んで、別の馬車に移動した。

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