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第246話
「それね、ミリィちゃんが…」
「違う!!僕が刺した!!」
「シエル……」
エルヴィドがミリィの名前を出した瞬間、シエルはミリィを庇うように声を上げた。
エルヴィドは苦笑いして、アルベールに目配せした。
「シエル。黙っていられないなら、今すぐこの手を離すが、どうする?」
「嫌っ!」
「なら、黙ってろ」
アルベールに制されて、シエルはしゅんと悲しそうな顔をして、アルベールの胸に顔を埋めた。
「で。ミリィがなんだ?」
「うん。そっちに援軍を送るよう調整している時にね、少し警備が甘くなって、その間にシエルに近づかれた。左脚もそうなんだけど……」
「なんだ?まだ他にあるのか?」
「いや……、うん。どうやら強姦されたみたいで……」
「やだ!!聞きたくない!!!」
アルベールの服を掴むシエルの手にギュッと力が篭り、その行動は真実を物語っているようなものだった。
「シエル、帰るぞ」
アルベールはシエルにそう声をかけてから、城の門へと足を進めた。
「ヴィクトリア、とりあえずお疲れ様。
シエルのこと、怒らないでやってね。その子なりに、ちゃんと考えたんだよ」
後ろからエルヴィドの声がしたが、あまり耳に入れずに、アルベールとシエルは城の中に姿を消した。
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