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第257話
「アルベール様!どうされましたか?」
気を失ったシエルを抱えて脱衣所に行くと、バルトがシエルの上がる時間を見据えて待機していた。
「逆上せたらしい。あとは頼む」
アルベールはバルトにシエルを渡して、身なりを整え始めた。
バルトはシエルの体を手早く拭いて、バスローブで包み、足首と首裏に冷えたタオルを当てた。
「大丈夫そうか?」
「はい。このままベッドへ連れていって、寝かせてやるのがいいかもしれませんね」
「そうか」
アルベールは時々、シエルの方に視線をやりながら、ミネラルウォーターを飲んでいた。
「アルベール様が人のいるときに湯浴みをするなんて、珍しいですね。何かありましたか?」
バルトはアルベールを見ながら疑問を問うた。
「こいつが入ってる時間と、入ろうと思った時間が、たまたま同じだっただけだ」
そう言ってアルベールは大浴場を後にし、部屋へ戻っていった。
バルトはシエルをシエルの部屋かアルベールの私室、どちらへ連れて行くべきか迷いながら苦笑した。
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