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第260話

午前5時、 少し早い時間にアルベールは起床し、ずっと目を開けていたシエルもそれに倣い、体を起こした。 「なんだ、もう起きてるのか」 アルベールは少し驚いたようにシエルを見るが、赤く充血した目を見て、シエルが寝ていないことに気づいた。 「もう少し寝るか」 「え?……………わぁっ!」 再びベッドへ横になり、シエルは腕を引かれて一緒に横になった。 アルベールがシエルを自分の元へ寄せ、シエルはアルベールの胸元に顔を埋めるような体勢になった。 シエルにとって、またとない幸せな展開なのだが、治りつつあった鼓動がまた大きくなり、それはアルベールにまで伝わるほどだった。 「シエル、おまえ持病とかないだろうな」 「な…、ないです……」 「じゃあ、なんでそんな心臓の音、大きいんだよ。今までそんなことなかっただろ」 「それは………」 アルベールの裸を見てしまって、惚れ直した。 なんて言えるわけがなかった。 シエルはまた顔を真っ赤に染めて、顔を埋めて返事を拒否した。 「とにかく寝ろ」 アルベールの視線を感じて、シエルはぎゅっと目を閉じて、眠ることに専念した。

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