263 / 266

第263話

「きゃー!アルベール!!!来てくれたの?!どうして?何しに?ほら、早く上がって!」 「………ちっ」 城へ入るなり、アルベールの入城を知らされたミリィが駆けつけ、アルベールの右腕に体を寄せた。 城の中はメルメンチックに装飾されており、ピンクの壁紙に赤い絨毯で覆われた床、おまけに、白くてふわふわとした家具ばかりで、アルベールは頭を抱えて項垂れる。 「何度来ても気分が悪いな…」 「大丈夫。私がアルベールと結婚するときは、私がそっちに行くし、アルベールの趣味に合わせるわよ」 語尾にハートが付きそうなくらい甘ったるい声で、ミリィは早く早くと、私室へアルベールを誘った。 ミリィの私室は城内とは打って変わって、黒とピンク、緑を基調としたシックな印象だ。 髪色と同じ、不思議な世界に入ってしまったような…、そんな部屋。 「今日は突然どうしたの?」 ミリィは羽織っていたカーディガンを脱ぎ、下着の透けたネグリジェ姿でベッドに腰掛けた。 「そういうつもりで来たんじゃない。服を着ろ」 「やだぁ!なんでそんなこと言うの?気持ちいいコトしよーよ?」 ミリィは椅子に座るアルベールの腿に跨り、首に手を回して、上目遣いにそう言った。

ともだちにシェアしよう!