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その⑥着るものを与えましょう

「な、長かった」 ただお風呂に入っただけで、こんなに疲れたことは1度もない。普段はシャワーで、湯に浸かる時も短時間で済ませる。だからか、佐久良は元気なのに信之助はぐったりとしていた。 長風呂が疲れた理由でもあるだろうが、たぶんその間中佐久良が信之助の身体をずっと触っていたからその疲れもあったのだろう。 「気持ち良かったですね、ポチ」 「よかねぇよ」 こういう時は、さっさと服を着て寝るのに限る。少しふらふらしながら、信之助が自分の服を着ようとした。だが、それを止める佐久良。裸でニコニコと笑いながら、信之助にあるものを手渡してきた。 その笑顔はまるで、「これを着ないと殺すぞ☆」って言っているかのように感じて。バッとすごい勢いで受け取った信之助。 もう、この際何でもいい。やけくそだった。佐久良の目の前から立ち去れるのなら、何でも良かった。でも、受け取ったものを広げた信之助の動きが止まった。 佐久良から手渡されたもの。それは、信之助が着ても少し大きめのダボッとしたTシャツ。色は白で、胸元にポチと手書きで書かれてあった。 そしてもう1枚。黒色の生地に、ピンクの線が入っているTバック。 「…………………これを、おっさんに着ろって言うのか」 「言います。ポチならきっと似合いますよ。心配しなくても、Tバックは新品です。さっき買いに行かせました」 「他に服はねーの?」 「日給8万円にこれも含むんで、着てくださいポチ。ちなみに、ピンクの線が嫌だったら黄色もありますよ」 「いや、あんたが気持ち悪いと思わなかったらいいよ別に。8万も貰うから、おっさん着る」 日給8万も貰うからと、信之助はしょうがなくそれを着た。Tバックは人生初で、正直変な感じがする。 ダボッとしたTシャツは、信之助の肩を少しチラ見させていて。裾は、おしりがギリギリ見えるか見えないかのラインで。慣れないTバックにもじもじしている姿は、佐久良を少し興奮させた。 「…………首輪も用意させましょうか」 「それは止めてくれ」 信之助が必死になって首輪は止めてくれと言うもんだから、佐久良は諦めて頷いた。

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