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※その⑭観察してあげましょう
田中信之助。ただいま、ヤクザの屋敷で日給8万円でお世話になってる35歳。おっさんだと自負しているが、男でもある。だから、溜まるものも溜まる。
ここにきてしばらく経つが、発散できていないのだ。1人暮らししてた頃は、週1程度でやっていた。DVDを見ながらとか、たまには趣向を変えて漫画を読みながらとか。
でも、こんな他人と一緒に住んでいる家でそれが出来るわけもなく。だから、それとなくどうやって発散しているか聞いてみたら。
「そりゃあ、店に行きますけど」
と返ってきた。ちなみに、藤四郎は恋人がいるから恋人で発散していると確認済みだ。藤四郎の恋人が男だと言う情報も入手済みだが、信之助には関係ないことだ。
そういった店。確かに店で発散するのもいいが、それは今の信之助が出来ないことだ。何せ、1人で外に出れないのだから。
「ということで、俺はやるぞ」
もう恥ずかしいなんて言ってられない。これ以上我慢していたら、日中もムラムラして仕事にならない。
「やるぞ、俺は!」
本日のパンツ、紐パンの紐をほどいて、まだだらんとしている自分のそれを信之助は握った。ちょっと小さめのそれを握るのが久しぶりすぎて、ちょっとだけ興奮してきた。
握って、いつもやるようにそろりと上下に擦る。固くなってきたら、ちょっと強めに早く。それが信之助のやり方だ。
今回は、どんな子を想像しよう。DVDもないし、漫画もない。だから想像しようとした。それはもう、自分のタイプの女の子を。
でも、信之助が想像しようとする度に浮かび上がったのは佐久良だった。
特に、この前たまたま見てしまった佐久良のお風呂上がりのセクシーな姿を。上半身裸で、したにはチノパンを。小さめのタオルで髪を拭いている姿は、本当にエロかった。
「何であいつのこと思い出して、俺ここまでたってんのっ!?」
「なにがですか?」
「ひょわっ!!!」
入ってこれないようにしていたはずだった。つっかえ棒とか使って、障子が開かないようにしていたのに。それを簡単に破って信之助の部屋に入ってきた佐久良。
部屋に入って早々、信之助が何をやっているか理解してニコッと笑った。それは、美味しい獲物を見つけた時の獣の笑みだったと後に信之助自身が語る。
「………1人で何をやっているんですか?」
「あ、」
「しょうがないから、観察してあげますよ。さぁ、ポチ。続けてください」
いつの間にか隣に座った佐久良が、緩く立ち上がった信之助のそれの先端にちょんと指先を当てた。
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