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その40我慢をしましょう
佐久良のたち上がったそれを握った瞬間、信之助は我に返った。あれ、今何してたんだろう。佐久良にあれを舐められて、そして自分は今佐久良のを下着の上からだけど握ってる。
「ごめん、むり」
「え?」
「酷いこと言ってるのも分かるし、でもちょっと無理。俺まだそこまで気持ちがいってない」
「…………………」
佐久良に酷いことを言っているのは十分理解している。でも、このまま続けたらいけないと思ったのだ。自分の気持ちと、佐久良の気持ち。まだ本当の意味で絡まりあってないと分かっているから。
自分が恥ずかしいと思った場面で、佐久良は一緒に笑い者になってくれた。そしていつもとは違う、高級ホテルと言うシチュエーション。
「ごめん、ほんと」
自分でも何を言っているんだと信之助は思った。もしかしたら、これで佐久良に嫌われたかもしれない。もうポチと愛おしそうに呼んでくれないかもしれない。
でも、そんな信之助の気持ちを佐久良は組んでくれた。というよりも、佐久良もそれは分かっていた。自分と信之助が、本当の意味で同じ気持ちではないことを。
「大丈夫です、ポチ。俺は我慢できますし、それに無理矢理するのは男として恥ですよ」
「さくら、」
「キスは貰えましたし、ポチのも舐められました。それより先は、ポチと本当に気持ちか通じてからにします」
「ほんと、ごめんなぁ。我慢すんなとか言っておきながら」
「気にしないでください」
信之助を安心させるように、佐久良はそっと額にキスを落とした。そんな優しいことをされたら、信之助の心はもうキュンキュンしっぱなしで。これだったら、こいつと通じ合うのはそうかからないなと思った。
「じゃあ俺、ちょっとこれ処理してきます」
「あ、」
「だから、ポチは大人しくベッドの上で待っててください。一緒に寝ましょう。大丈夫、何もしませんから」
佐久良の言葉に頷いて、信之助は大人しくベッドの上で待っていた。そして約1分後、佐久良が戻ってきたので一緒に眠った。
最初は離れて横になったけれど、ちょっとずつ、ちょっとずつ近づいていって。2人が深い眠りにつく頃には、佐久良の腕枕で信之助が眠っていた。
こうして、佐久良と信之助のイギリスへの旅行は終わったのである。
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