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閑話
【もしも、佐久良と信之助が犬だったら】
フレンチブルドッグである信之助は、シベリアンハスキーを目の前にして身体を震わせていた。
「な、なんだよお前!」
自分の方が年上のいうのは毛並み?を見て分かった。目の前のシベリアンハスキーの毛は艶がある。でも、自分の毛には艶がない。負けた。
でも、自分の方が年上なら威厳を保たないと。そう思うが、やっぱり自分より大きい犬を目の前にすると、恐怖が増す。
「フルフル震えて、可愛いですね」
「っ、可愛い言うな!」
「俺、シベリアンハスキーの佐久良と言います」
「名前教えてくれたって、俺は教えねーよ!」
「へぇ。教えてくれないんですか?」
「フレブルの信之助です」
「よろしくお願いしますね、ポチ」
信之助と名乗ったのに、佐久良は「ポチ」と呼んでじゃれようとした。でも、信之助は怖いから逃げる。すると、佐久良が自分の体格を利用して脅す。信之助が怯えて言うことを聞く。
「ふふっ。俺の飼い主も、ポチの飼い主を気に入ったみたいですね」
「うっそ!おい、信太郎、気を付けてくれ!」
佐久良にすり寄られながら、信之助は自分の飼い主である信太郎を見上げた。しかし、信太郎は楽しそうに佐久良の飼い主と話している。
「俺の飼い主、フィリップは、欲しいものはどんな手を使っても手に入れる人です」
「へ、へぇ」
「だから俺も、あなたをどんな手を使っても手に入れて見せますよ。ポチ」
佐久良の笑みが怖くて、信之助はワンワンと吠えた。
**********
信「何で俺がフレンチブルドッグなんだよ」
佐「別にいいじゃないですか?可愛いですよ」
信「やだよ。俺は、かっこいい犬がいいの」
佐「例えば?」
信「ドーベルマンとか、シェパードとか」
佐「へぇ。ま、ポチには無理な犬種ですね」
信「そんなことないもん!」
佐「いいえ。でもまぁ、かっこいい犬になったとしても、俺からは逃げられませんからね」
信「…………別に、逃げねーよ」
佐「ぽち、」
信「佐久良って、こら!押し倒すな俺を!!」
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