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その47少し驚かせましょう
ついに、信之助の歓迎会の会場に着いた。ちょっとお高めのホテルの宴会場を借りてするらしい。信之助は、さっきまでのワクワクとは裏腹に緊張した様子でホテルの中に入っていく。
「どうしたんですか、ポチ。そんなに緊張して」
「いやぁ。楽しみなのは楽しみなんだけど、なんか物騒な歓迎会されたらなって考えちゃって」
「それは大丈夫ですよ。臨賀会の人達はそんな物騒な歓迎会をしませんから。たぶんですけど」
そんな佐久良の冗談さえ本気にしてしまうぐらい緊張していた。それがまた面白いらしく、佐久良は声をあげて笑う。後ろで藤四郎が呆れていた。
「信之助さん。心配しなくても、歓迎会に銃や刀は出てきませんから」
「………だよな!楽しい歓迎会に、そんな物騒なもの出るわけないよな」
藤四郎の言葉に安心したのか、緊張がなくなっていて信之助の中にワクワクが戻ってきた。鼻唄を歌いながら、ルンルン気分で指定された宴会場のドアの前に着いた。
着いたら、すぐにドアを開けていいと指示が来ているので早速信之助はドアを開けた。
ドアを開けたその先には、楽しい歓迎会が待っている信じて。
でも。
「チッ。もう来ちまったか」
楽しいはずの歓迎会の会場が、騒然としていた。何人か倒れてるし、その倒れた人を踏んでる人もいるし。
そして、ドア付近にいた人が舌打ちをすると銃を信之助に向けてきた。
「わりぃな、新人さんよ。お前には死んでもらう!」
信之助に銃を向けた男が、引き金を引こうとした。何がなんだか分からない信之助は、その場から動けずにいた。早く動かないと、自分は死んでしまう。それが分かっているのに、恐怖で体が動かないのだ。
「ポチ!」
引き金を引くその瞬間、信之助の前に佐久良が出てきた。それと同時に響く銃声。そして蹲る佐久良。
「さく、ら?」
佐久良が撃たれた。撃たれた佐久良に早く駆け寄ってあげて、手当てをしないと。少しずつ動いてきた体に鞭を打って、信之助は佐久良に近づこうとした。そして、ふと見てしまった男の銃口を見て動きを止める。
信之助に向けられた銃口から、クラッカーに入っているような紙が出ているのだ。そして、その下を見てみれば紙の破片がいくつも散らばっている。
え、どういうこと?と信之助が思うのも無理はない。藤四郎は何が起こったのかすぐに理解して、重たいため息を吐いた。
「改めて、ポチ」
先程撃たれたはずの佐久良が、ニッコリと笑って信之助の手を取った。
「秋島組へ、臨賀会へようこそ」
佐久良の言葉の後に、パンッと頬を打つ音が響いたのは言うまでもなかった。
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