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その48歓迎会をやりましょう

「すみませんでした、ポチ。驚かせましたかね?」 「そりゃ驚くわ!物騒な歓迎会、しないって言ったのに」 「俺は、たぶんとつけてますから」 信之助に打たれた頬を、佐久良は愛おしそうに撫でていた。そんな佐久良にムキィ!としながらも、自分のために用意してくれた料理を食べる。 用意された料理は、頬が落ちてしまうんじゃってぐらい美味しくて。先程されたことが気にならなくなるほど、信之助は満足していた。 「んまっ。このハンバーグ、すんげーうまい」 「それは、確か直人さんが作ったハンバーグですね。ポチのために美味しいハンバーグを作ると、いろいろ調べていたみたいですから」 「マジか!うれしい、すっげー嬉しい!」 直人が、自分のために美味しいハンバーグを作ってくれた。しかも、いろいろ調べてだ。嬉しくないわけがない。パクパクと、ハンバーグを食べながらふと横を見る。 さっきから自分を見るばかりで、佐久良は何にも手をつけていない。歓迎会に来ている他の人達は、主役である信之助なんて気にも止めずどんちゃん騒いでいる。 しかたないなという感じで、信之助はハンバーグを一口サイズに切る。そして、切ったハンバーグをフォークで刺して、横にいる佐久良にフォークを差し出した。 「ほら。俺ばっか見てないで、お前も美味しいハンバーグを食え」 「でもこのハンバーグは、直人さんがポチのために」 「もう俺のためとか関係なくなってるって。ほら、他の奴等はどんちゃん騒いでるだろ?藤四郎は、誠太郎さんの息子さんと飲み比べしてるし」 ギャンギャン騒ぎながら酒を飲んでいる藤四郎と秀太を呆れたように見ながら、再度ハンバーグを食べるよう促した。 「それに、美味しいやつは人と分けあって食べたら、もっと美味しくなるの」 「………それもそうですね」 フッという感じで佐久良は笑うと、信之助が切って差し出してくれたハンバーグを食べた。 「な!美味しいだろ」 「はい。本当に美味しいですね、ポチ」 本当に美味しそうに佐久良が笑うので、信之助も同じように笑った。そして佐久良にもっと食べてもらおうと、ハンバーグを切っていた時だ。何かが飛んでくる音が聞こえて、近くでべちょっとした音が横の方で聞こえた。 恐る恐る信之助は顔をあげて横を見た。そして、口に手を当て必死に笑いをこらえる。 信之助が笑いをこらえる理由。それは、佐久良の顔にべちょりとついているケーキを見てだ。 飲み比べをしていた藤四郎と秀太がヒートアップして、手当たり次第に物を投げたんだろう。 そしてたまたまケーキを手に持ち、それを投げた。そしてそのケーキが、たまたま佐久良に当たったというのだ。 ずるりと、佐久良の顔についたいたケーキが落ちる。その時に見えた佐久良の表情を見て、信之助は笑いをこらえた形で固まった。 佐久良の表情は、笑顔で何人も殺してきました的な感じで。藤四郎と秀太に、佐久良が制裁を加えたのは言うまでもなかった。

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