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その67絆を深めましょう

佐久良の手を引いたまま信之助は歩く。誰もいなさそうな路地裏に入ると、佐久良を抱き締める。 「気にすんな、佐久良。な、」 信之助の言葉に我慢が出来なくなったのだろう。佐久良が、信之助の肩に顔を埋めて泣いた。自分の肩が濡れる感触がしたが、信之助は気づかないフリをする。そうしないと、佐久良が壊れてしまう気がして。 でも、ほんの少しだけホッとした部分もあった。ちゃんと佐久良も泣けるのだと。いつも、信之助や秋島組の組員を背負っているような男だ。だから、立場的に泣けないのは分かっている。だからこそホッとしたのだ。 「さくら」 「……………俺は、家族が嫌いでした。強要してくる父親に、何も言えない母親。それから、父親の人形に成り果てた2人の兄。何もかもが嫌いでした」 「うん」 「でも俺は、きっと普通の人間としての生活は送れないと分かっていた。だって、極道の世界が普通だったから」 「うん」 「だから、嫌いな家族のそばを離れて新しい組を作ったんです。この組にいたいって、思ってくれるような、」 そこで佐久良は言葉を切った。続けようと思っているのか、もう話したくないのか。信之助には何も分からなかったが、佐久良のことが知れた。話を聞いていて、もっともっと佐久良のそばにいたいと思えた。 「佐久良」 「はい、」 「ありがとな。お前が、家族と離れて新しい組を作ってくれたおかげで、俺はお前と出会えた」 「っ、」 「ありがとな」 きっと佐久良の過去の闇はまだまだ深いのだろう。知られたくない過去もあると思う。それでも、それごと含めた佐久良が愛しくて。 「っ、ポチ」 「何よ」 「俺も、今ほど自分に感謝したことありませんよ」 「そっか」 佐久良は涙を流しながら、でも本当に嬉しそうに笑った。その笑顔を見て、信之助も嬉しくなって。外ということを忘れて、佐久良の頬にキスをした。 「………………ポチ」 「ま、今日は出血大サービスだ」 「それなら口にしてくださいよ。ほら、さぁ!!」 「……………あ、早く帰らないと藤四郎が心配する」 ウェリカムと言う感じで両腕を広げた佐久良を見て、信之助は逃げるようにしてそこから離れた。そんな信之助を、佐久良は両腕を広げたまま追いかける。そんな2人の追いかけっこは、秋島組の屋敷まで続いた。

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