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現の夢8
「おい、入れ替わるぞ……」
「へっ?」
「活動限界が来た。お前から貰うものをもらわなきゃ、俺は動けない。とりあえず足にくっついてるズボンと下着を脱いでから、さっさと入れ替われ」
吐き出すように告げるなり、つらそうに顔を歪ませた番人が躰の上に倒れ込んできた。体温が低いのに、しっとりと汗ばんだ肌を直に感じて、危機感に迫られる。
片腕で番人の華奢な躰を支えながら起き上がり、空いた手で指摘されたものを脱ぎ捨てた。
「番人さま、大丈夫ですか?」
顔を覗き込んで声をかけたが、目がうつろな状態で焦点が合っていなかった。
(とにかく僕が早いとこイって、番人さまを楽にしてあげなければ!)
静かに横たえさせてから、番人の両膝の間に自分の躰を割り込ませる。焦りながらも自身が感じるように、腰を前後に動かしてみた。
「んっ……ぁ」
荒い呼吸を繰り返す、番人の色っぽい唇から甘い声が漏れるのを聞き、自分が感じさせていることを実感させられたのだが――。
「くそっ、早くイきたいのに……」
無駄に焦れば焦る分だけ快感が遠のくせいで、下半身の熱が次第に冷めていき、みるみるうちに萎んでいく。
「……敦士、俺の両肩を掴め」
「へっ? あ、はいっ!」
目を閉じたままなされた指示に、慌てて返事をした。言われたとおりに番人の肩を掴む。自分よりも厚さのない体形を手のひらに感じて、手荒に扱ったら壊れるんじゃないかという不安に駆られた。
「腰を動かしてみろ。そうすれば、俺の躰が逃げない。さっきよりも強い刺激が、得られる、だろ」
ちょっとだけ両腕に力を入れながら、床に番人の躰を押さえつけた。そのまま腰を前後に動かしてみたら、番人が告げたように気持ちよさを体感できた。
「ありがとうございます。このまま続ければ、何とかイけそうです」
「そりゃ良かった。もっと気持ちよくしてやるから、俺にキスしろ」
眉間に深い皺を寄せたまま、うっすらと瞳を開けた番人に導かれるように、敦士は唇を重ねる。
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