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理想と現実の狭間で12

「んっ……」 「僕で貴方を満たしたい。どれだけ貴方のことが好きなのかを、その身に知らしめたいから」 「ちょっ、待っ」  敦士のセリフに躊躇した番人の声も虚しく、強引にその場へ押し倒した。 「あつ、し?」 「もう我慢しません。番人さま、すみませんっ」  言いながら、いきなり服の裾を両手で勢いよく引き上げ、それを番人の口に押し込んだ。外気と敦士の目に晒された裸体は、ぶるりと小さく震える。  そんな躰をあたためるように、番人の膝を割った敦士が抱きしめながら唇で肌をなぞった。 「ぅんっ、くぅっ」  敏感な部分を舌で入念に責めると、番人は咥えさせられた裾を噛みながら、何度も甘い吐息を漏らした。  それを聞くだけで、敦士の腰から下がじんじんと疼き、挿入したくて堪らない気持ちになっていく。 「番人さま、たくさん感じてください。僕の手や舌で気持ちよくなって……」  躰をまさぐっていた片手が、番人の下半身に伸ばされた。完勃ちしている先端を、いやらしくぐりぐり弄り倒す。 「ンンっ!」  番人が感じて腰を上げた刹那、地面がぐにゃりと変形し、両膝をついていた敦士の躰が不安定さに大きく揺れた。慌てて番人の躰を抱きしめると、変形した周りの景色が見覚えのある部屋に早変わりする。 「ここは僕の部屋だ。どうして――」  腕の中にいる番人に触れることができているので、現実世界じゃないことはすぐに理解した。 「お前、俺を抱きながら、考え事でもしていなかったか?」  ちょっとだけ掠れた声の番人が訊ねる。 「考えてました。この場所で番人さまを抱いたら、背中が痛いだろうなと。だから途中で、体勢を変えなければいけないって、いろいろ思って」 「その考えで、お前の部屋にこうして飛ばされたってわけだ。良かったな、敦士の好きな体位ができるじゃないか」  敦士の胸を押しながら起き上がった番人が、着ていた服を脱ぐのに、細かいボタンを外しはじめた。 「僕の好きな体位?」  きょとんとする自分を尻目に、さっさとボタンを外し終えて、服を脱ぎ捨てた番人が、敦士を押し倒した。 「わっ!」 「俺を感じさせてくれるんだろう? 早くお前のモノで、この身を満たしてくれないか」  番人の唇が敦士の唇を塞ぎ、ねっとりと舌を絡める。  仕切り直しになった自分の部屋での行為は、朝になって目が覚めるまでの間中、ずっとおこなわれたのだった。

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