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光6
意を決して顔だけで振り向くと、目の前は白っぽい光が満ち溢れていて、眩しいくらいの輝きを放つプラチナブロンドの外国人らしき男性が、その場に立っていた。
まったく知らない人物なのに、敦士は彼を見た瞬間から懐かしさを感じ、光に向かって反射的に右手を差し出した。
自分の中にある、昏い心を照らす淡い光を捕まえなければと必死になる。
「敦士、ただいま」
外国人が喋った途端に、光はあっという間になくなり、輝きで失われていたであろう見慣れた風景が、目に飛び込んできた。
「だ、れ?」
敦士からそう呟いたのに、気がついたら声をかけてきた男性をぎゅっと抱きしめる。表現しがたい焦燥感に駆られて、男性の存在を確かめるように、何度も背中を撫でてしまった。
どうしてこんなことをしてしまうのか、理由がさっぱり分からないのに、自分よりも小柄な躰に触れるだけで、心を落ち着けることができた。
「お前のぬくもりは、相変わらず心地いいな。離れがたくなる」
穏やかな男性の声に敦士は我に返り、両腕を万歳したまま慌てて後退った。
「すっ、すみませんでした。見ず知らずの方に抱きつくなんて、信じられないことをして」
「謝ることはない。俺たちは顔見知りだ」
「へっ?」
顔見知りだと男性に言われても、目に映る男性のことがまったく思い出せない。そればかりか何とも言えない不安が、じわじわと胸の中を渦巻いていった。
男性のことをもっと知りたいと思うのに、近づいては駄目だと、もう一人の自分が止めに入る。
「お前とは、夢の中で逢っていた。もちろん俺はこの姿ではなく、創造主から与えられた、夢の番人という姿で逢っていたんだ」
「夢の番人……。髪を肩まで伸ばした、プラチナブロンドの外国人みたいな人でしょうか?」
ほんの数秒間だったが、印象に残った外国人の特徴を述べてみる。
「もしかして、思い出したのか?」
男性は嬉しかったのか、敦士が離れた分だけ、微笑みながら距離を詰めてきた。
「いいえ。貴方に声をかけられて振り向いた瞬間に、光り輝く姿が見えたんです」
「二度あることは三度ある、神の瑕疵か。このタイミングで、ありがたいと言えばいいのか……」
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