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番外編:貴方に逢えたから
ベッドが軋む音で、ふと目が覚めた。肩にくっついている大きな背中からぬくもりが伝わってきて、自然と笑みが浮かんでしまう。
こうしていつでも彼に逢えるというのに、僕としては、夢の中でも逢いたい気持ちがなくなることはなかった。
僕の予想通り、自分よりも大人な健吾さんに散々翻弄させられ、どう対処していいか分からず、未だにオドオドしている状態が続いている。そんな情けない姿を見ているのに呆れることなく、屈託ない笑顔を見せてくれた。
あのあと付き合うと決めてから、無職だった健吾さんが僕のマンションに転がり込んだため、一緒に暮らすことになった。
その後すぐに就職先を決めた彼と共同生活をして、気がつけば1ヶ月が経っていた。
一緒に暮らせば、毎晩手を出さずにはいられない。『お前は顔に似合わず、絶倫だからな』と宣告されている意味が、痛いくらいに分かってしまい、行為のたびに申し訳なさを感じた。
だって何度シても全然足りず、もっともっと求めてしまって――。
はじめて肌を重ねるときなんて、申し訳ない思いやその他もろもろの気持ちが渦巻き、大変の極みそのものだった。
緊張しまくる僕の手を取り、微笑んだ健吾さんの笑顔を、今でもはっきりと思い出せる。
『夢の中で散々ヤったお前に、こうしてふたたび手ほどきするとは思いもしなかったが、今回は生身の躰だからな。丁寧に教えてやる』
「高橋さん、よろしくお願いします!」
『お前もはじめてだろうが、俺もネコになるのははじめてだ。正直不安はいろいろあるが、とりあえず挿入したら俺のことは気にせず、先にイけよ』
他にもいろいろレクチャーされたけど、健吾さんの中に挿れたら、あまりの気持ちよさに、全部吹っ飛んでしまった。
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