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番外編:貴方に逢えたから3

***  躰に受ける胸苦しさや締めつけを感じて、眉根を寄せながら目を開けると、窓から日の光が入り込み、部屋の中は薄っすらと明るかった。  自身の躰の不調を起こす原因に手を伸ばして、優しく頭を撫でてやる。 「おはよう、敦士。怖い夢でも見たのか?」 「おはようございます。健吾さんこそ、怖い夢を見たんじゃないですか? うなされてましたよ」 「悪夢を無きものにする夢の番人だった俺が、悪夢にうなされていたとは。覚えていないところをみると、無事に対処されたみたいだな」  笑いながら大丈夫なことを伝えるために、頭を撫でていた手で、敦士の背中を撫で擦った。 「敦士がそうやって抱きついて、俺を心配してくれたお蔭で、悪夢がなくなったのかもしれない」  相変わらず躰に抱きついたままでいる敦士に笑ってみせたのに、さらに腕の力を入れて絞めつける。 「僕が浮気したら、健吾さんはどうしますか?」 「えっ?」  敦士の口から出るとは思えない言葉がいきなり飛び出したせいで、どうリアクションしていいか分からない。ただ、思い当たるフシと言えば――。 「お前もしかして、女を抱きたくなったとか?」  男の俺に飽きて女を抱きたくなったから、浮気なんて言葉が出たことを、瞬間的に考えついた。  肌に触れている指先が引っ掻くようにして手放され、顔を見せないようにするためなのか、さっさと背中を向けられてしまった。引っ掻かれた痛みに顔を歪ませながら、無言を貫く背中を見やる。 「そんなことを言う健吾さんも、僕以外の人を抱きたくなったんじゃないですか?」  敦士が否定せずに、質問を切り返したことで、自分が告げた言葉が核心をついているのが分かってしまった。

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