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番外編:貴方に逢えたから18

「嫌です、抜かないでください。早くこれを外して――」 「それから?」  さっきと同じ問いかけをされて、ひゅっと息を飲んだ。  僕の望みを叶えたいと言ってくれた彼に、自分の中にある気持ちを伝えたいと思ったのも束の間、羞恥心がそれを押し留める。  健吾さんは縛られた両手を差し出す僕を見ながら、微妙に腰を上下させて、僕自身を焦らしまくった。どう見ても腰紐を外す気がないのは、ずるそうに笑っている表情で分かる。 「健吾さん、意地悪しないでください」 「お前が本音を言わないから、こうしているだけだぞ」 「本音って……」 「言っておくが、この体勢は俺だってつらい。理由は分かるよな?」  切なげに細められる健吾さんの瞳が、僕を欲しがっているように見えた。 「健吾さんも?」 「ああ。お前の硬くて大きいので、俺の中を滅茶苦茶にしてほしい。見える形で、俺を求めてほしいんだ。愛してるってことを」  僕が返事をする前に塞がれる唇。痛みを感じるくらいに、健吾さんの唇が押しつけられた。 「ぅんんっ、くっ!」  音を立てて出し入れされる舌を逃さないように、ちゅっと強く吸った。それと同時に、健吾さん自身を縛られた手でぎゅっと握りしめる。右手の親指で先端部分を、いやらしく撫で擦った。 「ああっ」  喘ぎ声と一緒に吐き出された空気もろとも、健吾さんの唇を塞いだ。侵入した口内に舌を差し込み、歯茎をなぞってみる。それに感じたのか、健吾さんの腰がずるりと下ろされた。 「あ、つし……」  握りしめた健吾さんのモノを扱くと、そこで動きが止まることが分かったので、間髪おかず一気に腰を押し上げた。 「ぁうっ!」  突き上げられた勢いで、健吾さんが思いきりのけ反る。プラチナブロンドがふわっと舞ってから、はらはらと上半身を覆った。 「健吾さんの……。リアルでこれが見られるとは、思ってもいなかった」  不意に口から突いて出た言葉を聞いて、健吾さんが驚いた表情で僕を見下ろす。呼吸をするように自然に呟いたそれは、考えもしないセリフだった。

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